木の作業台に置かれた、青とオレンジのフルフェイスヘルメット。めくれた内装の奥に白い衝撃吸収ライナーが見え、帽体の下部には文字の読めない白いラベルが貼られている

ヘルメットのPSCマークは、どこに貼ってあるのか。そして、PSCマークのないヘルメットで走ったら違反になるのか。この2つを、条文と経済産業省の資料で確かめました。

私がいま使っているヘルメットは2つとも、海外の通販で買ったものです。どちらにもPSCマークはありません。

1PSCマークは、どこに貼ってあるか

場所は、経済産業省の省令が乗車用ヘルメットについてこう定めています。

ヘルメットの内面又は外面の見やすい箇所に容易に消えない方法で表示を付すること。

(技術基準省令 別表第五。経済産業省の法令業務実施ガイド 令和8年5月版より)

内側でも外側でもよい、ということです。

SGマーク付きなら、外側の1枚のラベル

SGマークも付いたヘルメットなら、話は簡単です。製品安全協会はFAQで、「通常はSGマークとPSCマークは同じラベル上に表示されています。」と書いています。そして協会の認証の資料は、PSCとSGを併記した「協会支給ラベル(PSC+SG)」の貼り方を、こう定めています。

図1に示す協会支給ラベルを製品本体の外表面の見やすい位置に貼付します。

(製品安全協会「認証の詳細<乗車用ヘルメット>」)

なので、SGマーク付きなら、まず帽体の外側を見てください。法令上は内側でもかまわないので、外側になければ、内装をめくって探してください。

マークと一緒に表示されるもの

PSCマークは、単独では付きません。乗車用ヘルメットには、PSCマークのほかに次の表示が求められています。

表示中身決めているところ
PSCマーク(丸形)内面か外面の見やすい箇所省令(表示の方式)
届出事業者の名称製造または輸入の届出をした事業者の名前。承認を受けた略称や記号、届け出た登録商標でもよい省令(技術基準)
125cc以下用などである旨総排気量0.125リットル以下、電動なら定格出力1.00キロワット以下の二輪車と原付に限って使うヘルメットだけ省令(技術基準)
使用上の注意安全に使うために必要な注意事項省令(技術基準)
製造年月(または輸入年月)SGマーク付きのヘルメットのみ。略号でもよいSG基準

経済産業省も、売り買いの際はマークと届出事業者の名称の両方を確かめるよう呼びかけています。マークと事業者名は、セットで見るものです。

製造年月の場所はメーカーによって違います。たとえばアライはXDの取扱説明書で、ヘルメットの内面に貼られる検査ラベルに、最終検査の日付が製造年月日としてスタンプされていると書いています。ECEやSNELLのラベルを含めた読み方は、安全規格の記事の§17にまとめています。

2丸いマークが意味すること

丸形(円形囲み) PS C 特定製品 事業者自身が確認(自己確認品目) 乗車用ヘルメットは、こちら ひし形(◇囲み) PS C 特別特定製品 登録検査機関が確認(第三者) ライター、乳幼児用ベッドなど
同じ「PSC」でも、形が違えば確かめた人が違う。乗車用ヘルメットは、丸形。

消費生活用製品安全法の施行令は、規制の対象になる「特定製品」の一覧に「乗車用ヘルメット(自動二輪車又は原動機付自転車乗車用のものに限る。)」を挙げています。そのうち、登録検査機関の検査まで義務づけられる「特別特定製品」は、ライターや乳幼児用ベッドなど4品目だけで、乗車用ヘルメットは入っていません。

特別特定製品ではない特定製品では、届出事業者——製造や輸入の届出をした事業者——が自分で検査し、その記録を作って保存します。その義務を果たしたうえで付けるのが、丸形のPSCマークです。経済産業省のガイドは、2つのマークについてこう書いています。「表示を付するための条件に違いはあるものの、いずれも国が認証又は承認するものではない。」

PSCマークは、国が試験した証ではありません。この仕組みをどう受け取るかは、安全規格の記事の§4で扱っています。

3PSCマークのないヘルメットで走ると、違反か

着用の義務は、道路交通法第71条の4にあります。

大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。

では、何が「乗車用ヘルメット」なのか。基準は、同じ条の第8項を受けた道路交通法施行規則第9条の5にあります。

法第七十一条の四第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。

一 左右、上下の視野が十分とれること。
二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
三 著しく聴力を損ねない構造であること。
四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
六 重量が二キログラム以下であること。
七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。

7項目のどこにも、PSC・SG・JISの名前は出てきません。条文の上で問われているのは、マークがあるかどうかではなく、この7項目を満たす乗車用ヘルメットをかぶっているかどうかです。

なお、「公道使用不可」と書かれたヘルメットは、そもそも乗車用として売られていません。経済産業省は2024年の回答で、公道使用不可として売るなら、ヘルメット本体に14ポイント(4.9mm)以上の活字でその旨を表記する必要がある、としています。

ただし、7項目には試験の方法も数値もありません。その数値は、PSCの技術基準を定めた省令の側にあります。PSCマークがなくても、欧州のECEのような認証ラベルがあれば、その基準で試験されたことは分かります。何も付いていないヘルメットでは、4番目の項目を満たしているかどうかを、かぶる側が確かめる手段はほとんどありません。

違反の名前と点数

道路交通法施行令は、この違反を「乗車用ヘルメット着用義務違反」と呼び、違反点数を1点としています。警視庁の反則金の一覧表には、ヘルメットの項目がありません。e-Govの条文に付いている罰則の注記も「第四項から第七項までについては」となっていて、着用義務の第1項・第2項は含まれていません。点数は1点、反則金も罰則もありません。

警察が、マークのないヘルメットをどう見るか

ここは、答えを書けません。マークのないヘルメットで走ることが着用義務違反になるのかどうか、警察庁や都道府県警の公式な説明は、私が調べたかぎり見つかりませんでした。

近いものとしては、北海道警察の稚内警察署協議会の議事概要(令和6年9月30日)に、「乗車用ヘルメットにある適合基準を満たしているヘルメットには、PSCマークやJISマークがついています。」という回答が載っています。ただ、マークのないヘルメットが違反になるかどうかには触れていません。

条文から言えるのは、判断の基準が7項目だということまでです。それを満たすかどうかを道端で判断するのは、取り締まる警察官になるはずです。

海外の通販で買うとき

個人が自分で使うために海外から取り寄せること自体を禁じる条文は、私が読んだ範囲では見つかりませんでした。

ただし、2025年12月25日に施行された改正法で、売る側の扱いが変わっています。経済産業省の説明資料はこう書いています。

PSマーク対象製品を国内消費者に直接販売する海外事業者について、特定輸入事業者として、(現行の製造・輸入事業者と同様)届出を可能とし、技術基準への適合等を義務付けた。

日本の消費者に直接売る海外の店も、法律の上では輸入事業者として扱われるようになった、ということです。規制がかかるのは売る側で、買う側ではない、という構図は変わっていません。

ただ、経済産業省は2009年のチラシで、PSCマークのないまま国内で売られる乗車用ヘルメットについて、「消費者の皆さんは、こうしたヘルメットは購入・使用しないように十分ご注意下さい。」と呼びかけています。私の選び方は、この呼びかけとは違います。PSCマークが何を確かめ、何を確かめていないのか(§2)。ECEなどほかの規格が何を試験しているのか。そして、自分の頭の形に合うかどうか。安全規格の記事で並べたことを比べたうえで、決めています。海外の通販で買うと何を失うかは、並行輸入の記事にまとめています。

4本当に困るのは、手放すとき

PSCマークがなくて不便を感じたのは、走っているときではなく、手放そうとしたときでした。

法律:事業として売ることはできない

消費生活用製品安全法第4条は、特定製品の製造・輸入・販売の事業を行う者に対して、PSCマークが付いていなければ「特定製品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。」と定めています。違反すれば「一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金」で、両方が科されることもあります(第58条)。

中古品の例外もありません。第4条の古物の例外は、子供用特定製品だけが対象です。

個人の場合

個人については、経済産業省が、フリマサイトなどで取引する人に向けた資料でこう書いています。

個人間取引も販売事業者になり得ます。

(中略)

対象製品を一回的に譲渡するような場合は、販売の事業には当たりませんが、対価を受けることを条件として、反復継続して対象製品を譲り渡す場合は「販売の事業」となります。

一度きりなら、事業ではない。対価を受けて繰り返し売れば、個人でも事業者です。

メルカリとYahoo!フリマ:一度きりでも出品できない

ところが、大手のフリマアプリの線は、法律より手前に引かれています。

  • メルカリは、ヘルプセンターの禁止出品物に、PSマークの表示が求められるのに表示のない製品を挙げ、その例に「乗車用ヘルメット」を入れています。お知らせでも、「バイク用ヘルメットについては、PSCマークが確認できない場合、削除させていただく場合があります。」と書いています。
  • Yahoo!フリマは、ガイドライン細則で、PSマークのない製品を出品禁止物にしています。そのうえでバイク用ヘルメットを出品する場合は、「PSCマークが商品にあることを画像(記載内容が確認できる鮮明なものとし、当該商品に添付されていることが分かる方法による)で明示すること」を求めています。

一度きりかどうかは、関係ありません。メルカリではPSCマークが確認できなければ削除されることがあり、Yahoo!フリマでは写真で示せなければ出品できません。

買取と下取り

バイク用品の買取サービスも、PSCマークのないヘルメットは受け付けないところが多いようです。店は買い取っても売れないのですから、無理もないと思います。新しいヘルメットを買うときの下取りは、店によります。引き取ったヘルメットを、その店がどうしているかで変わるからです。

5私がしていること

私はこれまで、国内で買ったPSCマーク付きのヘルメットも、海外の通販で買ったヘルメットも使ってきました。

これまででいちばん頭に合って、かぶり心地もよかったのは、LS2のStream IIの欧州仕様でした。国内で売られているアジアンフィットのモデルではありません。推奨ではなく、私の頭の形の話です(アジアンフィットの話)。

不便は2つです。買う前に試着できないこと。そして、PSCマークがないので売れないこと。

なので、使い終わったヘルメットは、Facebookのグループで無料で譲っています。状態、使った期間と使い方、どこで買ったか、どの認証のどんなステッカーが付いているかを、正直に書きます。受け取る人にお願いするのは、送料の負担だけです。

経済産業省のガイドは、販売事業者を「対価を受けることを条件として、継続反復して特定製品を譲り渡すことを事業として行う者。」と定義しています。私は代金を受け取っていません。ただ、送料を受け取る人に負担してもらうことまで含めて、法律の上でどう見られるのかは、私には判断できません。私は法律の専門家ではありません。

受け取る人にとっては、履歴の分からない中古です。だから、分かっていることを書きます。考える材料は、落としたヘルメットの記事と寿命の記事にまとめています。

ヘルメットが決まったら、次は行き先です。Japan Bike Cafeは、駐車場とアクセス路の路面がわかるツーリング先を、現在地や都道府県から検索できるディレクトリです。

よくある質問

ヘルメットのPSCマークは、どこに貼ってありますか?

法令では「ヘルメットの内面又は外面の見やすい箇所」に表示することになっていて、一か所に決まっているわけではありません。SGマークの付いたヘルメットなら、PSCとSGを併記した1枚のラベルが、帽体の外側の見やすい位置に貼られています。外側になければ、内装をめくって内側を見てください。ヘルメットには、届出事業者の名称も表示されています。

PSCマークのないヘルメットで走ると、違反になりますか?

道路交通法がヘルメットに求めているのは、施行規則第9条の5の7項目(視野、ひさし、聴力、衝撃吸収性と耐貫通性、あごひも、2kg以下の重量、人体を傷つけない構造)で、PSC・SG・JISの名前は出てきません。条文の上では、マークの有無ではなく、この基準を満たす乗車用ヘルメットをかぶっているかどうかが問われます。ただし、マークのないヘルメットで走ることが違反になるのかどうか、警察の公式な説明は、私が調べたかぎり見つかりませんでした。なお、乗車用ヘルメット着用義務違反は違反点数1点で、反則金と罰則はありません。

PSCマークのないヘルメットは、フリマアプリで売れますか?

メルカリとYahoo!フリマは、PSCマークのない乗車用ヘルメットを出品できない商品にしています。法律の上で売ることを禁じられているのは販売の事業を行う者で、経済産業省は、対価を受けて反復継続して譲り渡す場合は個人でも「販売の事業」になると説明しています。